担当者が休む月に、後任者へシフト表のファイルを渡します。
色分けも関数もそのまま残っているのに、後任者は最初の1枠で手を止めます。
後任者に足りないのは、表の操作ではありません。
どの枠から埋めるのか、なぜその人を入れるのかという判断の順番と理由、そして担当者が感覚で守ってきた労働時間の上限です。
どちらも、担当者の頭の中にしかありません。
「自分しか作れない」状態ができる理由
属人化は、担当者が手を抜いた結果ではありません。
毎月の事情に合わせて組み方を工夫し続けた結果、工夫が本人の中にたまっていきます。
毎月シフトはできあがるので、判断を書き出す機会もないまま続きます。
引き継ぎシートに書く4つのこと
判断の中身は、1枚の引き継ぎシートにまとめます。
- 埋める順番:最初に埋める枠と、その理由(例:開店と締めを先に決める。できる人が限られるため)
- 組み合わせのルール:同じ時間に入れない組み合わせ、新人と一緒に置く人
- 数字の基準:曜日と時間帯ごとの必要人数、人件費の目安、労働時間の上限
- 表の読み方:色、記号、関数の意味と、例外として扱っている行
完璧な手順書にする必要はありません。
次のシフトを組むときに、迷った判断を一行ずつ書き足していけば、シートは実際の作業に沿ってできあがります。
埋める順番そのものを型にする方法は、シフト作成を効率化する5つの手順で紹介しています。
後任者が確かめる労働時間と36協定
引き継ぎで見落とされやすいのが、担当者が感覚で守ってきた労働時間の上限です。
数字で書き残さないと、後任者は「いつも長めに入っている人」をそのまま長く組んでしまいます。
- 労働時間は、原則として1日8時間、週40時間まで
- これを超えて働いてもらうには、36協定の締結と届出が必要
- 36協定があっても、時間外労働は原則として月45時間、年360時間まで
- 6時間を超える勤務には45分以上、8時間を超える勤務には1時間以上の休憩
変形労働時間制などを使っている店では、扱いが変わります。
自店の就業規則と36協定の内容を、引き継ぎシートに書き写しておきます。
1回作ってもらって、足りない所を埋める
引き継ぎシートは、書いた本人には十分に見えます。
足りない所は、後任者が実際に組んだときに初めて分かります。
そこで、担当者がいるうちに、後任者に1か月分を組んでもらいます。
担当者は確認役に回り、後任者が手を止めた箇所と、担当者なら違う人を入れた箇所をシートに書き足します。
1回で埋まらなくても、2回目には手が止まる箇所が減っていきます。
シフト管理ツールを使うと、後任者と同じ画面で進められます。
たとえばシフトリでは、ほかの管理者を招待して、同じ店舗の募集、提出された希望、シフト表を一緒に確認できます。
勤務パターンなどの店舗設定と、過去の募集もサービス内に残るため、ファイルの受け渡しで設定がずれることもありません。
次のシフトで書き出す一行
次のシフトを組むとき、最初の1枠を埋めたところで手を止め、その理由を一行だけ書いてみてください。
その一行が、色分けや関数だけでは伝わらない判断を後任者へ渡します。




