「すみません、熱が出てしまって今日は休みます」。
開店1時間前にこの連絡が届き、グループトークで「今日10時から18時まで入れる人はいませんか」と募っても、増えるのは既読の数だけです。
当日の朝に、丸一日予定が空いている人はほとんどいません。
本当に足りないのは、丸一日分の人手でしょうか。
時間帯ごとに数え直すと、埋めなければ回らないのはランチの2時間半だけ、ということもあります。
穴埋めは、代わりを探す前に、足りない時間帯と役割を数えるところから始めます。
当日は次の4ステップで進めます。
- 穴の大きさを測る:どの時間帯に、どの役割が何人足りないかを数える
- 候補に同時に頼む:足りない時間帯だけを、複数の候補へ同時に頼む
- 期限で切り替える:決めた時刻までに見つからなければ、業務を減らす
- 決まった内容を伝える:シフト表を書き換え、スタッフへ知らせる
ステップ1:足りない時間帯と役割の数え方
数える基準は、シフトを組むときの余裕を除いた最低人数(これを下回ると営業のやり方を変えるしかない人数)です。
キッチン担当が10時から18時の勤務を休む日なら、次のようになります。
| 時間帯 | 最低人数 | 欠勤後の人数 | 判断 |
|---|---|---|---|
| 10時から11時半 | 2人 | 2人 | 埋めなくても回る |
| 11時半から14時 | 4人(キッチン2人) | 3人(キッチン1人) | キッチンを1人埋める |
| 14時から18時 | 2人 | 2人 | 埋めなくても回る |
8時間の穴が、「ランチの2時間半にキッチン1人」に変わりました。
出勤中のホール担当がキッチンにも立てるなら、探す相手を「ホールに入れる人」に変えられます。
ステップ2:候補への頼み方と依頼文
1人ずつ返事を待つと、既読がつくまでの時間が候補の数だけ積み重なります。
希望を出していたのにシフトから外れた人など、予定が空いていそうな2〜3人へ、同じ文面を個別トークで同時に送ります。
グループトークは全員が「誰かが返すだろう」と様子を見やすいので、個別で決まらなかったときに使います。
【急募】今日11:30〜14:00に、キッチンへ入れる方を1人探しています。 12:00〜13:30だけでも助かります。 難しい場合は「×」だけ返してもらえると、次の方に声をかけられます。 10:30までに、先に返信をくれた方にお願いします。
休みの日の出勤や延長には、基本的に本人の同意が必要とされています(厚生労働省「いわゆるシフト制について」)。
断りやすい文面は、無理な引き受けも防ぎます。
延長を頼むときは、1日8時間を超えないか、休憩を取れるか、18歳未満のスタッフに22時以降を頼んでいないかも確かめます。
ステップ3:見つからないときの業務の減らし方
「あと1人に聞けば」と探し続けると、見つからなかったときに業務を減らす準備が間に合いません。
依頼文の「10:30まで」のように判断の期限を決め、過ぎたらお客さまへの影響が小さい順に業務を減らします。
- 後回しにできる作業を止める(翌日分の仕込み、清掃の一部)
- 手間のかかる提供を絞る(一部メニューの休止、テイクアウトの停止)
- 使う範囲を狭める(客席の一部を閉める、レジを1台にする)
- 営業時間を短くする
残った人数で回る段階まで進んだら止め、あとから返事が来たら減らした業務を戻します。
ステップ4:代わりが決まったあとに伝えること
代わりが決まった時点で変更を知っているのは、店長と代わりに入る人だけです。
シフト表そのものを書き換えてスタッフへ伝えないと、夕方から入る人が古い表を見て動くことがあります。
ほかの候補にも「見つかりました」と一言返し、予定を空けたまま待たせないようにします。
たとえばシフトリでは、確定済みのシフトを書き換えて「変更があるスタッフに通知」を押すと、勤務が変わったスタッフにだけ最新のシフトがLINEまたはメールで届きます。
欠勤した人に代わりを探させてよいか
当日の体調不良なら、代わり探しは店が引き受けます。
本人に任せると、体調の悪い人が連絡を続けることになり、見つからなければ無理に出勤する理由にもなります。
欠勤や、代わりを見つけられなかったことに罰金を科すルールは、労働基準法が禁じる損害賠償額の予定や、減給の制裁の上限に触れるおそれがあります。
欠勤の連絡には、「代わりはお店で探すので、ゆっくり休んでください」と返します。
平常時に用意しておく備え
当日に迷う判断は、欠勤の連絡が届く前に決めておけます。
| 当日のステップ | 平常時の備え |
|---|---|
| 穴の大きさを測る | 欠勤連絡の受け口と、時間帯ごとの最低人数表 |
| 候補に同時に頼む | 頼める人と役割の一覧、依頼文のひな形 |
| 期限で切り替える | 業務を減らす順番と、店長不在時に判断する人 |
| 決まった内容を伝える | 最新のシフト表をスタッフが見る場所 |
最初に一つ作るなら、必要人数表に1列足すだけの最低人数表です。
この表があれば、開店1時間前に連絡が届いても、最初に開くのはグループトークではなくこの表になります。




